昇進の話が来た時、もしくは将来昇進の話が来た時のことを想像した時に、今の環境を変えたくないから受けたくないなって思ったことありませんか?そんな時にぴったりなことわざがあります。「立場が人を作る」です。
現場監督として15年以上、現役の次長課長級である私の経験を元に昇進することのメリットデメリットを紹介します。私は昇進することによって仕事だけではなくプライベートも充実し、収入も400万円アップすることができました。
昇進は夢や目標が未だない人には特におススメです。新たな役職にチャレンジすることできっと人生がより素敵なものになるはずです。
収入が上がるのは嬉しいけど、昇進にそこまで興味がないかな…。プライベートも大切にしたいしね。
現場監督として昇進してみた私のケースを紹介します。きっと参考になるはずです。
メリット・デメリットと私のケース
まずはそれぞれのメリットデメリットを考えてみたいと思います。
昇進のメリット・デメリット
昇進するメリットは
- やりがいを感じられる
- 担当する業務のレベルが上がる
- 収入アップが期待できる
- マネジメント能力が身につく
- 視野が広がる
- 裁量が増える
など。デメリットは、
- 仕事の量が増える
- 部下の管理監督責任がある
- 結果の責任が問われる
- 人間関係が複雑になる
などが挙げられます。
やっぱり仕事のウエイトが大きくなるよね。プライベートが圧迫されそうだよ…。
そうですね、実際に大変だと私も感じます。ちなみに、新しい仕事をすることでマンネリ防止にもなりました。
次は反対に昇進を断るメリットについて、
- 自分の時間が比較的確保しやすくなる
- 管理職をしなくてよく現場の仕事をすることができる
- 部下を持たず自分のことに集中できる
- 結果を比較的求められない
など。デメリットは、
- 周囲に劣等感を抱きやすくなる
- 給与が上がりにくくなる
- 大きな仕事がやりにくい
やっぱり僕は昇進は遠慮したいな!後はうまく断る方法を検索しよっと。
あっ!ちょっとだけ待ってください。せめて私の経験を紹介させて…。
それぞれにメリットデメリットがあり、判断する際にはそれらを考慮したうえで決めてゆくことになると思いますが、私としては昇進の話がきたら受けるべきだと思います。なぜなら「立場が人を作る」ということわざが昔からあるように、昇進することによって得られるメリットが多いと感じるからです。一つの例として私の経験を紹介します。
昇進するまで
現場監督として入社した私も6年が経ちました。その頃は数多くの現場を受け持ち多くの経験積む中で応用も利くようになってましたのである程度一人前と言えるようになってました。後輩も何人かでき教育係として指導もしてきました。そんな中転機が訪れます。転勤が決まったのです。
新たな地域でもそれまでの経験を活かし、現場管理と後輩の指導を行ってました。上司も変わりました。そこで1年が経ったある日、上司にこう言われました。
あ、昇進させといたから。
えっ!、あ……はい…。
まぁやることは今までと変わらないから。
はぁ…。
そう、勝手に昇進させられていたのです。上司は本当にその二言しか言いませんでした。私に考える権利を与えてくれなかったのです。その時点で私に残された選択肢はこのまま昇進を受け入れて働くか退職するかの二択しかありませんでしたが、やることが変わらないのであれば今すぐ辞める理由はないので、とりあえず昇進を受け入れてそのまま働くことにしました。
驚いたのはその後です。翌年も
あ、昇進させといたから。
えっ!、あ……はい…。
(またかよ…。)
さらにその翌年も、
あ、昇進させといたから。
えっ!、あ……はい…。
(いやさすがに事前に言ってくれなきゃ困るよ!けど辞めることはできないしな…。)
何と3年連続で昇進、しかも勝手に。当時は組織の再編もあり新たな役職が多く作られていたこともあるのですが、私の意志を確認しないことはさすがに許せませんでした。次も同じことをされたら退職も辞さない覚悟を密かに心の中で決意しました。
それはあんまりだね…。選べないだなんて。
とにかくやってみるしかなかった状況でした。
昇進してみて分かったこと
実際に昇進してみたら、部下の人数が増えたものの仕事の内容的には言われた通りさほど変わりませんでした。しかし昇進するにつれて大きく変わっていったものがあります。結果に対する責任の問われ方です。
それまではチームのリーダーとして自分が持っている経験を基に部下を指導し、より良いチームになるように進めてきましたが、成果が出なかった場合に責任を問われることが確実に増えてきました。
言い訳かもしれませんが、自分で昇進を選んだ訳ではなかったので責任を問われることの覚悟ができてませんでした。
同情するよ…。
失敗するたびに悩むことが増えてゆきました。
望んでいなかったのにどうして責任を問われるんだろう…。
辞めなかったってことは受け入れたってことだし自分が悪いのかな…。
今の役職に対して自分の実力不足を感じるな…。
もっと実力をつけてから昇進すべきだったな…。
現実から逃げ出したかったのでそんなことばかりを考えてました。今まで通りに今までの延長として頑張ろうとしてきたのですが、それだけでは役職を務める心構えとしては足りなかったのかもしれません。
立場が人を作る
そんなある日のこと、知り合いの業者さんとお話しする機会があり、そこで先ほどの自分の悩みを聞いてもらいました。その時業者さんから言われた言葉が「立場が人を作る」でした。
そんな言葉があるってことは、たとえ昇進した時に実力が不足していたとしても、成長を見込んでその役職に昇進させられるケースがあるんだ、これから立場に見合うようになっていけばいいのか、と、その時私は解釈しました。
その言葉を聞いて少しホッとしました。
なるほど。それは良かったね。
例えば「作られた(できた)人が立場に就く」であればできた人が立場より先に来ているので、できてない自分はこの立場にいてはいけないと落ち込んでしまいます。今回言われた「立場が人を作る」は、極端な言い方をすれば人を育てるには立場を与えるべきとも言い換えられます。それくらい人を育てるには立場というものは良いものだというが昔から言われてきているのです。
昇進して得たもの
次に実際に昇進してみて私が得られたことを紹介します。
視野が広がった
役職が上がることにより会社中枢の経営的視点が学べます。中枢の意思決定がどの様に現場まで降りていくのか、現場だけしか経験していなければ全く分からないことでした。また管轄する地域も広がりますので、気候なども含めそれぞれの地域の特性を学べます。
一つ一つの業務の意義や目的が分かるようになります。これは仮に現場に戻った際に物凄くアドバンテージになるのです。
確かに、前にそんなことがあったよ。ある業務が何のために行うのか、その意味が分からなくてミスしちゃんだんだ…。
責任感が増した
会社というのは緩い目標設定をしてくれません。できる限り社員には頑張って働き成果を出してほしいからです。その中で役職者は集団が生み出す成果の結果が問われるので、何とかしなきゃと否が応でも頑張るしかなくなります。
責任感が増すことにより成果を求め必死に考え行動するようになり、正に真剣に仕事に取り組むようになりました。以前は仕事中に若干時間が余ればスマホをいじったりしてサボることもあり、せっかくできた時間をそんな無駄な使い方にしている自分が何だか虚しく感じる時もありました。
ダラダラ仕事をする癖がつき、結局帰社時間も遅くなりがちでした。
できるだけ早く家に帰りたいよね。
昇進するごとに責任感が増し、そういった無駄な時間を減らせるようになります。
収入が上がった
昇進するごとに収入が上がりました。昇進していなかった場合と比べると2倍弱くらいまで上がりました。同じ時間働いていて時間単価が良くなったのは正に昇進したからだと思います。
本を読むようになった
本を読む?それって昇進と関係ないような気がするけど?
いやいや、そうでもないんだよ!
昇進するごとにプレッシャーは厳しくなります。それは紛れもない事実です。会社からの要求に対し多くの部下をまとめながら時には他部門や取引業者様と調整を行い成果に向けて進めてゆく。そこには非常に複雑な人間関係があり、言葉で言うほど簡単ではありません。メンタル的に辛くなってくることが多くなりました。
そんな状況を何とかするには自分自身が成長する他に無いと考えた結果、私は多くの自己啓発本を読むようになりました。本を読むことにより自分の考え方を整理することができ、前向きになりました。
人は追い込まれると何とかその状況を改善するために必死になるようです。
何となくそれは分かるよ。色々きっかけにはなるよね。
きっと昇進しなければそこまで追い込まれることは無かったので、この本を読む自分には出会えなかったでしょう。
プライベートが充実するようになった
最後にプライベートです。視野が広がり会社というものを理解し、真剣に仕事に取り組む中で無駄な時間を作らない習慣ができ、収入が上がり多少なりとも生活に余裕ができ、本を読むことにより前向きに自分自身の考え方を持てるようになりました。それらは仕事だけではなくプライベートにも好影響を与えてくれました。
実際そんなことってあるの!?
ありますよ!ここが一番大きいかもしれません。
休日の時間を余暇やリフレッシュに充てるだけではなく、何か少しでも自分や誰かのためになるような、自身の成長につながるような、将来のためになるような、そんな時間を少しでも多く取るように過ごすようになりました。
例えば
- テレビを見るのを辞めた
- ゲームを辞めた
- SNSを辞めた
- 家族との時間を増やした
- 家事をすることを増やした
- 本を読んだり独学の時間を作った
など、本当に細かいことです。これだけ?少なすぎない?意味なくない?そう思うかもしれません。しかし、これが1週間、1か月、1年と続いていくと、小さなことが習慣になり生き方になり、とても大きなことになってゆくことが実感できます。
昇進することによりこと小さなことを少しずつ変えてゆけたので、今の自分になれたのだと感じます。
確かにやらなきゃとは思っていることはあるんだけど、先延ばしにしちゃって中々できないんだよね。そういうことができるようになるきっかけにはなりそうだよね、昇進は。
昇進していなかったら
反対に昇進してなかったらどうなっていたでしょうか。少し想像してみたいと思います。
ちなみに私は自分にも他人にも甘い人間です。
やりたいことや主体性などはありません。
基本的にめんどくさがりで怠け者でゆるいです。
そのまま働き続けたパターン
そんな人間なので、仕事は恐らく退屈で会社に対しては不平不満を言うばかり、余った時間をつぶしながら気楽にしていたと思います。やる気はあまりないので、後から入社した後輩に追い抜かれる可能性が高いです。その結果周りに対し劣等感を感じるはずなので、余計に後ろ向きな考え方になっていたはずです。
それでも仕事は仕事と割り切ってプライベートの時間が充実していれば良いのですが、仕事からの好影響がまず見込まれないので、恐らくリフレッシュや余暇に多くの時間を割き、今のような時間の使い方はできなかったと思います。
例えば昇進していなくても、本さえ読んでいれば今のように時間を使えたんじゃないのかな?
それはあるかもしれませんが、少なくても自己啓発本を読む理由が今より少ないはずなので、やっぱり難しかったと思います。
転職していたパターン
また転職していた可能性も高いと思います。新たな職場や職種を経験することにより、今よりも視野が広がっていたかもしれません。本当にうまくやれば収入も今より高く、プライベートも今より充実していたかもしれません。
ただし、それは転職することにより新たな刺激を受け、自身の成長につなげられていればの話かなと思います。
繰り返しになりますが、私は基本的に自分にも他人にも甘く主体性が無いゆるい人間です。そんな人間がしっかりと自分自身を見つめて、自分は何のために転職するのかどうやって生きていくのかを考えて、うまくいかなかった理由を周りの環境のせいにしないでいられるかどうか…。よっぽど運良くうまくやらないと今よりも成長できていたとは思えないのです。
役職が上がることによって得られる責任感や、自己成長することに必死にならなければならないほどのプレッシャーと比べて、
転職によって得られるものが今の自分よりも成長させてくれたとは今のところ思えないのです。
そうだね。確かに立場が育ててくれたのは間違いなさそうだね。
昇進を特におススメする人
今まで私のケースを基に昇進について説明してきましたが、昇進することを特にお勧めするのは、はっりきとした夢や目標が未だない方です。なぜならそれらがあれば自分の力で進んでゆけますが、それらがなければどうしても受け身になりがちだからです。その一つの例が、正に私です。私は昇進することにより夢が見つかりました。はっきりとした夢や目標が無い未だ無い方は、昇進する経験を逃してはなりません。視野が広がることにより、きっと自分の夢や目標が分かってくるはずです。
まとめ
昇進の話がきたら受けましょう。なぜなら「立場が人を作る」ということわざが昔からあるように、昇進することによって自分自身が大きく成長できます。成長すれば仕事だけではなくプライベートの時間にも好影響があるので、きっと人生自体も好転するはずです。夢や目標が未だない人は特におススメです。昇進してそれらを見つけるきっかけにしましょう。