職人さんに伝えなければいけないことがあるんだけど、なかなかうまく伝えられずに、結局指示を聞いてもらえないことってありませんか。自分だけで解決できずに上司や会社、または他の職人さんなどに迷惑をかけてしまったり。
うわ~良くあるな…。
人間関係の悩みは、いくつになっても常にありますよね。
そんなあなたにおススメなのが「伝え方が9割」という本です。この本で紹介されている伝え方の技術を使えば、伝え方の悩みも解決できます。
現場監督歴15年以上、自己流の伝え方で職人さんへ伝えてきた私ですが、日本人コピーライターとして初の米国の広告賞で金賞を受賞された著者によるこの本を読んで、シンプルな伝え方の技術を学び、まるで道具を使うように技術を使えるようになりました。
この本であなたも伝え方の技術を使う事ができるようになります。プロポーズ、面接など、これからの人生のいくつもの岐路で、「ノー」がひとつでも「イエスに」変わったら、それは人生が変わるということではないでしょうか。
ホントにそんなこと出来るの!?少し大げさなんじゃない。
非常にシンプルで実際にとても使える技術です。一緒に見てゆきましょう!
現場監督と伝え方について
現場監督の仕事は多岐にわたります。その中で実際の建築現場で行うこととしては、決まった工期や出来栄え、安全で適切な施工方法がなされるように管理してゆくことがあります。管理する中で特に多いのが、現場に入場する業者さんや職人さんなどと直接会って話をして、指示を伝えたり要望を聞いたりすことです。
伝えることの難しさ
直接会って話すことはメールやFAX、電話などに比べて履歴も残らず後から確認し直すことも出来ません。しかし、現場を管理する上で非常に有効です。
なぜなら、直接話して伝えることは相手の感情に訴える事ができるので、他の手段に比べて最も相手を動かす、つまり「人を動かす」ことができるのです。
会うまでの時間も含めると余計に不効率だと思うけどな…。
確かにそうですが、ここぞという時に直接会って話すことは大事ですよ。
しかし、実際に「人を動かす」ことは非常に大変なことです。もちろんそれが仕事と言ってしまえばそれまでですが、特に監督としての経験が浅い内は話をする相手が
- 建築に関する経験が圧倒的に自分より長いことが多い。
- 職人さんは年配の方が多いので、自分よりも年上なことが多い。
- 一人親方や社長など、代表者が多い。
という状況がほとんどです。どんな仕事でも同じだと思いますが、自分より経験も浅く年齢が若い方からの指示は、例え正論で内容が合っていたとしてもすんなりと受け入れることが難しいと感じる方もいらっしゃると思います。
伝え方が下手な人はさらに難しい
それでも、そのような状況から始まり年齢や立場、経験の違いを超え、信頼関係を築きあげることも十分に可能です。
僕もかわいがってくれる年配の職人さんがいるよ!
色々な方がいらっしゃいますが、特に気のいい方たちが多いですよね。
監督の性格も様々ですが、特に元々他人とのコミュニケーション能力が高い人は、コミュニケーション能力が低い人に比べて早く信頼関係を築きます。例えば友人関係と同じで、コミュニケーション能力が高い人の方が、低い人より早く広く交友関係を構築できるのと同じ理由です。信頼関係が築ければ、より簡単に「人を動かす」ことができるようになります。
ではコミュニケーション能力が低い人はどうすれば良いのでしょうか。もちろん、丁寧に時間をかければ信頼関係を築けるでしょう。しかし、建築現場では付き合いの長い方だけに指示をする訳ではありません。初めてお会いする方がほとんどになります。
そうなんだよ…。話を聞くだけならいいんだけど、立場的に指示することが多くなるんだよね。
その点が現場監督のコミュニケーションで特に難しいところですよね。
またコミュニケーション能力を高められれば良いですが、元々自分自身に備わっているものを劇的に変えるには、多くの努力と時間が必要になります。ではコミュニケーション能力が低い監督が、できるだけ早く伝え方がうまくなり「人を動かす」ことができるようになる方法はないのでしょうか。
伝え方が9割
そんな方にお勧めしたいのがこの本、「伝え方が9割」という本です。
この本は伝え方にはシンプルな技術があるということ、「ノー」を「イエス」に変える技術を教えてくれます。順番に紹介してゆきましょう。
伝え方にも技術がある
先ほどの現場監督の例にもありますが、伝え方はとても大切なものです。なぜなら同じことでも伝え方によって相手の受け取り方が違ってくるからです。
例えば
「この部分、少し直してもらえませんか?」
「いつもありがとうございます。この部分、少し直してもらえませんか?」
同じ内容でも後の方が直してもらえる確率が上がるはずです。なぜなら人は「ありがとう」という感謝の言葉を否定しずらい生き物だからです。
このように伝え方に上手い下手があるのはみなさんも経験でわかると思います。しかし、その伝え方というものは技術のように学べるものなのでしょうか。
それって性格だったり、センスや環境とか、経験により身につくものなんじゃないの?
分かるんだけど、なかなかパッと言えないよね。
確かに学べるという発想はあまり聞きません。しかし、著者によると伝え方は学べる、鍛えられるとのことなのです。
その理由は著者自身のしてきた経験と、著者の講義を受けた受講生が驚くほどに変化してゆくのを目の当たりにしてきたからなのです。
著者の紹介を少しだけ。親が転勤族であった著者は、子供のころ中々周囲と溶け込めず、いつしか人と話すのが苦手になりました。自分の想いをうまく伝えることができなかったからです。その理由から理数系に進んだものの、もっとうまく想いを伝えられるようになりたいという気持ちが抑えられず、就職先は広告代理店、伝え方のプロであるコピーライターとして働くことになりました。
人と話すことが苦手な人が伝え方のプロになるのって、蕎麦アレルギーの人が蕎麦屋になるようなものなんじゃないの?大変だ…。
よっぽど秘めた想いが強かったんでしょうね。
しかしその結果、やはり仕事がうまくいかず理想と現実の差に悩むこととなります。そんな著者が必死にもがきながら見つけた法則がこの本に書かれている技術なのです。
著者はこの発見した技術を駆使し、日本人コピーライターとして初の米国の広告賞で金賞を受賞するまでに上り詰めます。伝えることが苦手だった少年時代から今に至るまでのこの自身の体験から、伝え方にも技術がある、そして学べると著者は言っているのです。
では実際にその技術を一部紹介してゆきます。
「ノー」を「イエス」に変える技術
現場監督が「人を動かす」ために、よく「お願いする」という場面があります。コトバを選ばずにストレートに思ったそのままを言うことで「イエス」になることもありますが「ノー」となることもあります。運任せとも言えます。そのお願いを相手の気まぐれ次第にしないで、あなたのお願いの仕方で「イエス」の確立を上げる事ができます。
3つのステップ
「ノー」を「イエス」に変えるには3つのステップがあります。このステップを踏めば「イエス」の確立を高めることができます。
- 自分の頭の中をそのままコトバにしない
- 相手の頭の中を想像する
- 相手のメリットと一致するお願いをつくる
このステップで大切なことは相手の文脈でお願いを作ることです。つまりお願いを相手の「イエス」になるものにします。結果的に自分の要求が達成できればよいのです。
どうしてこのステップが効果的かというと、相手にメリットがあるお願いの仕方だからです。
例えば相手をデートに誘う時を考えてみましょう。
デートしたい!
1.自分の頭の中をそのままコトバにしない
イタリアンが好き
2.相手の頭の中を想像する
とてもおいしいパスタを出す店あるんだけど、食べに行かない?
3.相手のメリットと一致するお願いをつくる
となります。
自分の頭の中のコトバだけでは相手にとってデメリットとなり「ノー」となるケースでも、相手にメリットがあるお願いのであれば「ノー」が「イエス」になる確率は高まります。人は誰でも自分に取ってのメリットがある選択をするからです。
なるほどね!確かに言われてみればそうかも。僕も好きなことで誘われたら、OKしちゃいそう。
結果的に自分の要求(デートに行く)が達成できれば良いということですね。
これは「相手の好きなこと」を想像しましたが、他にも使える切り口が沢山あるんです!
「イエス」に変える他の切り口
次に3つのステップの2番目の「相手の頭の中を想像する」際に使える他の切り口を現場監督の例も交えて紹介します。
嫌いなこと回避
先ほどの3つのステップの説明の際に、2番目のステップで使われた切り口は「相手の好きなこと」でした。反対に相手の嫌いなことからお願いを作ることも出来ます。こっち嫌いでしょ、だからやらない選択をしましょう。という切り口です。
例えば、芝生が踏まれて困っています。注意書きの立て札をつくるとき、どう書いたら人は芝生に入らなくなるでしょう?
「芝生に入らないで」
→あなたのメリットしかない。
「芝生に入ると、農薬の臭いがつきます」
→相手の嫌いなことからつくり、あなたのお願いを聞くこと(芝生に入らないこと)が相手のメリットに変わった。
ただ「芝生に入らないで」と言われても、人は芝生に入るものです。ストレートに要望を言うのではなく、ここでもステップ2の相手の頭の中を想像し、相手にとって入りたくなくなるよう、「嫌いなこと回避」でコトバをつくるのです。
現場監督が実際に建築現場で使う例としては
「この部分、少し直してもらえませんか?」
→あなたのメリットしかない。
「後から直さなければなるかもしれません。今の内に少し直してもらえませんか?」
→相手の嫌いな後から直すことからつくり、あなたのお願いを聞くこと(直してもらう)が相手のメリット(後から直すことを回避)に変わった。
このように使います。
確かに!これは実際に使えそう。本当にこんな状況多いもんね。
相手の「嫌いなこと」をお願いの前に一言入れるだけで、
自分のお願いが相手にとってもメリットのあることに変わりましたよね。
あなた限定
もともと人は「あなた限定」に弱いです。悪い例ですが、あなただけにこの話をします、のような投資詐欺に引っかかってしまい大金を失う人がいるほど弱いです。例えば、誰も行きたくない自治会のミーティングに誘う時の使い方。
「自治会のミーティングに来てください」
→あなたのメリットでしかない。
「他の人が来なくても、○○さんだけは来てほしいんです。」
→その人の名前を使い「私こそが必要と思ってくれている」と思わせ、心を満たすことで相手のメリットに変えるのです。
現場監督が実際に建築現場で使う例としては
「この部分、少し直してもらえませんか?」
→あなたのメリットしかない。
「例え他の人が直さなくても、○○さんだけには直してほしいんです」
→その人の名前を使い「私だからこそ、必要と思い言ってくれている」と思わせ、心を満たすことで相手のメリットを作り、結果的に私のお願い(直してもらう)を聞いてもらい易くする。
このように使います。
これは少しずるいくらいだね。でも、これを自分が言われたらぐらッときちゃうな…。
言われた立場で考えると、実際かなり断りずらいですよね。
感謝
これは最大の方法です。人と接する時の基本とも言えます。太古の昔から人はお願いをかなえてもらうために「感謝」をしてきました。世界中にある収穫祭も、感謝とともに来年の豊作への願いが込められていました。つまり「ありがとう」と感謝を伝えられると、ノーとは言いにくいことを昔から人は知っていたのです。
この切り口を使ったお願いでよく目にするのは、コンビニのトイレのお願いです。
「トイレをきれいに使ってください」
→コンビニ側のメリットしかありません。
「いつもトイレをきれいに使っていただき、ありがとうございます」
→感謝が入ると人はお願いを拒否しにくいのです。最近ではほとんどのコンビニでこのお願いを目にするので、実際に効果があるのでしょう。
これはとっても有名だよね!
このお願いがあると、むしろ汚すことに勇気すら必要になってきますよね。
現場監督が実際に建築現場で使う例としては
「この部分、少し直してもらえませんか?」
→あなたのメリットしかない。
「いつもありがとうございます。この部分、少し直してもらえませんか?」
→感謝から入ると「ノー」と言いにくい。
また他には
「使ったら元に戻してください」
→あなたのメリットしかない。
「いつも戻していただき、大変助かってます」
→やはり感謝から入ると「ノー」と言いにくい。戻さないことに少し罪悪感を感じる。
このように使います。
このように伝えていけば「ノー」を「イエス」に、「人を動かす」確率もあがってゆくのではないでしょうか。
伝え方を鍛えると人生がかわる
「人を動かす」ためには、伝え方を学び、鍛えてゆきましょう。伝え方は技術です。なぜなら同じお願いでも伝え方によって結果が変わるからです。
例えば
「デートしたい」
→自分の頭の中をそのままコトバにしない
「イタリアンが好き」
→相手の頭の中を想像する
「とてもおいしいパスタを出す店あるんだけど、食べに行かない?」
→相手のメリットと一致するお願いをつくる
このように3つのステップを使いましょう。また相手の頭の中を想像する際には「デメリット回避」や「あなた限定」、「感謝」など「好きなこと」以外の切り口も使いましょう。
本には今回紹介しきれなかった他の切り口や他の技術も載ってます。繰り返しますが伝え方は技術です。本を読んで実際に使って鍛えてゆけば、あなたの伝え方はうまくなり、言葉は強くなります。
そして「ノー」をひとつでも多く「イエス」に、つまり「人は動かす」ことができるようになるので、自然とあなたの人生も変わります。一冊の本で人生が変わるとしたら素敵じゃないでしょうか。変えるなら今です、是非読んでみてください。
僕も何だかもっと伝え方を勉強したくなってきたよ!
知っていると知らないでは大きく差がつきそうですよね。
これからも一緒に学んでゆきましょう!